メンタルヘルス対策 Vol.2 – 「労災認定①:会社側4,000万円支払い」
2014年5月5日
メンタルヘルス Vol.1では、職場環境における「メンタルヘルス」の現状や従業員のストレスの原因などについてご案内しました。
大切な従業員はもちろんのこと、会社を守るためにもメンタルヘルス対策の重要性を理解していただけたかと思います。
今回は、会社側の安全配慮義務違反が認められ、労災認定に至ってしまった実例を紹介して参りたいと思います。
IT業の事案
東京高判:2012/03/22
原告:従業員 被告:会社
原告側の従業員が、急性アルコール中毒で死亡したのは、過労による精神疾患が原因として、その従業員の両親が会社側に損害賠償請求したという事案です。
争点として死亡と業務内容との因果関係、会社の安全配慮義務などといったところがメインとなりました。
下った判決は、長時間労働について会社側の安全配慮義務違反を認め、4,000万円以上の支払いを命じたものでした。
※本人も睡眠不足解消を怠ったとして、3割の過失相殺あり
【判決のポイント】
①死亡と業務の間に因果関係があるかどうか
従業員は、月に100時間以上の時間外労働や配置転換により精神障害を発症し、正常な認識と行動の選択が著しく阻害された状態で過剰飲酒に及び、その結果急性アルコール中毒により死亡。また、精神障害の発症要因が業務以外に見当たらないとしたこと。
そして、従業員はの精神障害の発症については、会社側の業務による心理的負荷に起因し、業務との因果関係が認められたということ。
②会社がの予見可能性と安全配慮義務違反があったかどうか
従業員に対する安全配慮義務に違反しており、会社側は使用者責任に基づきこれにより発生した損害を賠償する責任があるとしたこと
メンタルヘルスの観点から考察
上記の労災認定事案では、自殺や病死ではなく「過剰飲酒」が死因となったこが特徴的な判例です。
精神障害の発症と過度な時間外労働時間の事実があるだけでも、業務による起因性が認定される可能性が高いということが再認識されたとも言えるでしょう。
また、時間外労働が月に100時間を超えると、会社側の責任は逃れられないと解釈することもできます。
過失相殺があったとはいえ、会社側支払うべき賠償額は4,000万円以上です。
労働者の過労死は会社にとって大きなリスクとなります。
事故が起きた際の対策や、そもそも事故が発生しにくい環境をつくる対策として、保険を活用する事が可能です。
リスクマネジメントとしての保険やメンタルヘルスに関するご相談など、お気軽にお問合せください。